図書館振興財団助成事業 

「市民協働による 新たな図書館サービスの創造 」

実施期間:平成21年8月~平成23年7月の2年間にわたって下記の4つのコンセプトにより12事業を行い、下記の成果を上げることができました。

事業のコンセプト

  1. 市民が支える図書館づくり(広報活動・人材育成)
  2. 市民の生活支援サービスと情報サービス
  3. 千曲川地域文化の創造と発信
  4. 市民交流の場の提供

助成事業の事業計画

活動報告ブログ

図書館振興財団

 

  -----事業実施報告-----

各事業の詳細なまとめは下記

1年目のまとめ   2年目のまとめ

平成23年9月


  ~新たな図書館サービスの創造から継続、発展へ~

 NPO法人上田図書館倶楽部は、財団法人図書館振興財団より助成を受けて平成21年8月から23年7月(一部9月)にかけて「市民協働による新たな図書館サービスの創造」をテーマにして多くの事業に取り組んできました。

この度事業が完了したので、事業の成果、残された課題、今後の方向等について、以下のように実施報告をいたします。
なお、本事業参加者数は1年目のべ1373名、2年目のべ1929名であり、事業推進に当ったスタッフ数はそれぞれ34名、35名でした。

1成果 ~新たな図書館サービスの創造と人材育成

(1)実施した12事業の大半は新たな図書館サービスの創造を目指したものですが、その うちの主なものは次のとおりです。

  1. 先ず、「上田市誌」の目次情報をデータベース化しインターネットで提供するコンテ ンツサービス事業です。この事業が契機となって県下全体の「長野県市町村史誌目 次情報データベース事業」へと大きく発展しています。
  2. 地域で輝いている方をゲストに招いてお話を伺い、知見を広めるという、繭ホールサロントークは回を重ねて好評です。
  3. 地域文化雑誌を目指しインターネットを活用して発行する電子ジャーナル「環」は、インターネットを活用した地域の情報誌として注目されています。
  4. 上田図書館倶楽部だより「とーく」は定期的に発行され、この助成事業や当倶楽部 の活動の様子、さらに上田地域の図書館の様子を広く市民に伝えています。


(2)次の既存事業は助成事業に組み込まれ、継続、発展しています。

  1. 千曲川地域の文学講座、コンサート・朗読会等の集会文化事業は情報ライブラリー 開館以来の事業ですが、千曲川地域文化の創造と市民交流の場として発展しています。
  2. 地域の記録を次代に伝えるという目的で始まった執筆編集講座は、この間2期にわたり開講され、その成果は通算して50冊ほどの本に結実し、図書館に寄贈され貸出されています。
  3. 初心者の知識、技術の修得や市民自身による情報収集をサポートする情報収集講座 (ネット&カフェ)により、情報リテラシー教育、スキルアップが図られています。
  4. 調べもの学習講座も入賞作品の展示会、セミナーを行い、調査のための図書館利用 の啓発に資しています。

(3)多くの人材が育成されている

  1. 絵本読み聞かせ人材養成講座第3期が助成事業対象となり、より深い絵本理解とそれを子どもたちに伝える確かな技術習得をねらいとした内容は、本格的な絵本の読み手を数多く世に送り出すことになりました。なお、全3期の講座修了者がそれぞれ自主サークルを作り、相互に交流、支援しながら現在も実践と学習を続けています。
  2. 絵本読み聞かせレベルアップ講座は、子どもたちに楽しい読書の世界を案内できる 人材を多く育てています。
  3. ブックトークゼミナールはモデル小学校での実演等を通してブックトークの有効性 を実証し、実演台本集を自ら作成するなどゼミナール参加者の力量を確実にアップさ
    せています。
  4. 情報検索基礎能力試験勉強会の実施により、情報検索のプロを目指す「情報検索基 礎能力試験」(サーチャー試験)合格者7名を輩出しました。また、情報サービススキルアップ研修は全国的にもレベルが高く、この受講者の中からこれからの図書館を支えるような人材が育っています。

 

事業については、新聞やケーブルビジョンでもたびたび取り上げられて注目され、また参加者のアンケートでも好評を得て手ごたえがありました。
以上のように、NPO上田図書館倶楽部が受け皿となって、多くの市民がスタッフとして参画し、その経験と能力を発揮、「上田情報ライブラリーコンセプト達成のための新たな図書館サービスの創造」が実現できたことで、助成事業の当初の目的を達したものと考えます。

 

2 市民協働の図書館づくりについて
市民が提案する活動のほぼすべてが図書館との共催により実施され、相互に課題を持ちながらも協働して諸事業を進めることができ、現状での市民と図書館との協働の質を深めることができました。

 

3 課題と今後の方向
(1)新たな図書館サービスの継続、定着
この度の助成事業の実践と経験を基に、育成された人材が活動の場を広げ、その力を発揮して自らを高め、上田情報ライブラリーコンセプト達成のために助成事業により創造された新たな図書館サービスを、さらに継続、発展させ、本来の図書館サービスとして定着させていきたいと考えます。

(2)市民協働のさらなる展開
市民協働はNPO・市民団体と行政がパートナーシップに基づき相互に協力し、市民の専門性、ノウハウ、経験等を活かす協働(コラボレーション)により、図書館サービスや市民満足度の向上を目指すものです。
市民協働には次のような重要な視点があります。
・ 市民による市民のための図書館づくり
・ 専門性の形成、図書館サービスの向上
・ 市民と職員の関係のあり方の再構築
今後はさらに職員との意思疎通を図り、上田情報ライブラリーのコンセプト達成のために市民の力を図書館や地域に還元する方途を築いていきたいと考えます。
また、図書館の意義、役割や機能についての行政や市民の理解がさらに促進され、図書館への市民参加、市民協働の輪が広がることを期待します。

 

4 事業成果の公表

  1. Webサイトの公開

NPO法人上田図書館倶楽部ホームページ(http://ueda.zuku.jp/)において、図書館振興財団助成事業「市民協働による 新たな図書館サービスの創造 」の事業成果を公表しています。
また、電子ジャーナル「環」もWebサイトに掲載しています。(http://ueda.zuku.jp/journal/journal.html) 

 

2. 上田図書館倶楽部だより「とーく」の発行

2009年年12月に創刊号を発行以来隔月に発行しており、今年7月で10号を重ねています。